◆「重心移動と綱引き」◆
ピッチングで重要な部分を占めるのが重心移動。
数10キロから100何キロという重さの物体が速度を持つというのは、
実はものすごいパワーなのです。
物理で言うところのエネルギー保存の法則。
もしステップで体が持っているエネルギーが0になって、
全てがボールに乗り移るとすると、
もともと体が持っているエネルギーが大きい方が当然球速も出るわけです。
エネルギーは重さ×速さ×速さで計算されますから、
ボールが仮に250グラム(計算しやすいように)とすると、
体重70キロの場合
70×速さ×速さ=0.25×球速×球速
つまり、
球速の2乗=280×重心移動の速さの2乗
となるわけですね。
130キロ出したかったら、
重心移動の速さが最低8キロくらい必要な計算です。
意外と時速8キロっていうのは速い数字だと思います。
一歩でランニングくらいの速さまで高めなければならないので。
問題はステップした瞬間に重心移動の速度を0まで抑えられるか、
そして実際には腕も重さに含めなければならないので、
この8キロよりもっと速くなければなりません。
そこで重心移動をよりパワフルにする必要があるのですが、
そのヒントが綱引きです。
綱引きは必然的に人間がとる最大パワーを発揮するための引き方のはずです。
まさか前を向いて引っ張る少年はいませんよね。
ということは後ろを向いてお尻を引きながら落としていくような動作が、
重心移動を起こす上で必要になってきます。
すると骨盤の向きはやや2塁方向をむき、軸足膝は内側ではなくややガニ股、
足は母指球ではなく小指側のエッジで捕らえるべきだと分かります。
これがLAS投球動作でいう「後くの字」という動きになります。
それでは「後くの字」を導くためのトレーニングを紹介します。
◆実践編・コンディショニングトレーニング◆
「プル・スクワット」
二人組で向かい合って手をつなぐか、
一人の場合は柱などをつかみます。
後ろに引っ張り合いながら、お尻をとにかく後ろに出すようにして、
スクワットを同時に行います。
膝を使って下に降りるのではなく、
お尻を後ろに出すことによって重心を落としていくことが大切です。
膝の位置は内側に入らないように気をつけましょう。
ただし両足は平行にしておきます。
つまりやや小指側に体重を乗せておくと良いでしょう。
正確にいえば内側のアーチ(土ふまず)をしっかりと保つことです。
この運動によってお尻を後ろに出す体の使い方を覚えましょう。
上半身は胸を張って前かがみになります。
骨盤からしっかり前傾(お辞儀)させるイメージです。
回数などは特に決まりはありませんが、
動きが覚えられるまで何度も繰り返し行いましょう。
体重移動にお悩みの方は、是非お試しください。