一流になるために「コンディショニング」
コンディショニングを正しく行うことで、一流選手になるためのファーストステップを踏むことが出来ます。逆に、コンディションを整えなければ上達スピードが遅くなってしまい、一流選手からはどんどん離れてしまいます。
代表的なコンディショニングの効果は、
・正しい動作を身につけられるようになる
・トレーニングの効果が出やすくなる
・ケガを防ぎ、改善しやすくなる
これらによって、継続的に速く上達することが出来るようになるのです。「センスがいい」と言われている選手の体は、正しい動作が身につきやすい筋肉のバランスや関節の動き、姿勢を持っています。これはコンディショニングによって誰もが会得することが出来るものです。コンディショニングを知って、上達スピードの速い選手になれば、一流になるための条件をひとつクリアすることが出来るのです。
コンディショニングの考え方
筋肉は、どこかが強く緊張したり過剰に発達していると、その反対側の筋肉が一時的な筋力低下を起こすことがたびたびあります。これを「弱化」と呼んでいます。また、弱化は背骨などの歪みや、ストレスなどから生じることも多く、通常ケガなどはこの弱化が原因となって起こるのです。
緊張した筋肉をほぐすことばかりを考えてマッサージなどを行ってしまいがちです。弱化した筋肉が回復しないままに緊張をほぐしてしまうと、全体として関節が緩い状態になってしまいます。すると関節を守るためにまたほぐした筋肉を強く緊張させるのです。これがもみ返しや筋肉痛のような症状の正体です。
正しいコンディショニングの方法は、この弱化した筋肉を回復させるために、背骨や足など、関節位置の調整や、栄養面の改善、内臓へのアプローチを行うこと。そして弱化が修正され、自然に緊張した筋肉が通常の状態に戻るというのが本来あるべきコンディショニングなのです。
また、ストレッチなどは強く体を使った後の、全体的に緊張が高まっているときにそれを鎮める程度に行うことが大切です。または、関節の動きが少なすぎる部分にのみ行い、バランスを整えることを目的にして行うことも頭に入れておきたいところです。
栄養と筋機能
栄養不足によって筋機能が低下するということが多く見られます。ビタミンAの不足によって目の機能が低下するなどといった話は良く耳にしますが、それと同じように、特定の栄養素が特定の筋肉の機能に影響を与えるのです。
つまり、栄養の偏りがあったときに、不足した栄養素に対応する筋肉の機能低下が起こり、それが原因でケガなどや体の歪みなどを引き起こし、原因が栄養の偏りだと分からないままストレッチやマッサージを繰り返すといったことも頻繁に起こりうることなのです。
食生活をしっかりとしない選手は必ずケガをします。また、筋肉の機能低下がある状態ではトレーニングの効果は望めず、絶対に上達しません。ストレッチやトレーニングの仕方を学ぶ前に、正しい食事によってバランスの良い栄養摂取をするということが、最も優先されるべきものなのです。
内臓と筋機能
内臓の機能低下も、筋肉の機能低下の原因となります。脊髄から神経信号が送られて筋肉は動いていますが、逆に筋肉から脊髄にも神経信号が送られます。それと同じように、内臓と脊髄も相互に信号を送り合っています。
何か内臓に機能の低下や冷え、栄養不足、疲れがある場合に、脊髄に異常な信号が送られ、その結果として筋肉にも異常な信号が送られてしまうという現象が起こります。
つまり内臓が正しい状態にないと、何らかのケガや、筋肉に力が入りにくいなどということが起こってしまうのです。
パフォーマンスの低下やスランプ、トレーニングの効果が上がりにくいなどの原因が、実は内臓にあることが多いということは念頭に置くべきでしょう。
背骨の動きの改善
背骨の動きが失われると、その周辺の神経に影響を与えてしまうため、結果として筋肉の働きが悪くなってしまうことが多く見られます。
大きく分けて骨盤、腰、背中、首の四つが、それぞれ自由に動く状態を常に整えておくことが大切です。
野球肩の選手に多く見られる猫背やストレートネック(頭がやや前に出た姿勢)などは、背骨の状態が悪いがために肩に以上を起こしている典型的な例です。
背骨の動きを正しくするためのコンディショニングは、トレーニング効果の向上や、ケガの予防、パフォーマンスの向上に欠かせません。
動作改善は身体を改善するということ
動作と身体は切っても切り離せない関係です。なぜなら、筋肉のバランスがそのまま動作のクセや特徴として表れるからです。人間は運動するときに、自分の身体の中で比較的強い筋肉を優先的に使いたがるという性質があります。
例えば、スクワットをする時であれば、膝周辺の筋肉が強く、背筋やお尻が弱いというバランスであれば、膝の筋肉だけに頼ったスクワットの動きとなります。逆に背筋やお尻などが強ければ、それだけで全身を使ったスクワットをしようとします。
このように、筋肉のバランスを変えることによって自然に動きを変えることも可能なのです。逆に言うと、筋肉のバランスを変えずに意識だけで動作を改善するということは、本来の意味での改善にはならないのです。
野球の動作で中心的に使いたいのは、身体の重心に近い部分である下腹部、股関節、肩甲骨などであり、腕や膝などの重心から離れた部分をどれだけ使わない動作をトレーニングの中で身につけていくかが大切な要素となります。
また、トレーニングで鍛える以前に、内臓や背骨の状態などによって機能が低下している筋肉があったとしたら、それを改善するコンディショニングも考えなければなりません。
動作を改善するということは、筋肉のバランスを変えることであり、そのためのトレーニングを行う以前のコンディショニングをするという一連の流れを行うことなのです。